更新日:2014年01月15日
コケ、シダ、キノコ、地衣類、粘菌。これらはみな花をつけず、胞子をばらまいて繁殖するため「隠花(いんか)植物」と呼ばれています。
花を咲かせる顕花(けんか)植物に対し、彼らはからだが小さく、形も色合いもどこか地味。その名のとおり〝花(華)〟がない・・・のかもしれません。しかし、しゃがみこんで、じっと目を凝らして見てみると、はっと息をのむほど美しく、人間の想像を優に超えた何ともユニークで精巧な体のつくりに、誰もが驚かされるはず。隠花植物は、興味を持ってくれた人だけにそっとその実力を披露する、いわば「隠れた逸材」なのです。
四季があり、国土の大部分が温暖湿潤な気候の日本は、実は多種多様な隠花植物の宝庫。隠花植物の楽園ともいえる、知る人ぞ知る「隠花(インカ)帝国」です。
コケを筆頭に隠花植物に心ときめかせてやまない筆者が全国津々浦々を回り、各地の隠花植物と彼らに魅せられた人たちを訪ねます。第1回は北海道・阿寒の森へ。初回更新は2014年1月中旬の予定です。お楽しみに。
藤井 久子